魯迅『故郷』を再読

nekomakura2006-01-13

図書館で休憩がてら教育関連図書の書架をうろついていて、東京書籍「新しい教科書3」を手に取る。まだ『故郷』が載っていて思わず読み出した。


二十年ぶりに故郷に帰った主人公。だが、かつての竹馬の友は、長い月日と厳しい社会情勢の中で変わってしまっていた。しかし、二十年まえの二人の姿は、今もなお、双方の子供達の間に見いだすことができる。うらびれた故郷を離れる船上で、子供達への「希望」が語られる。


懐かしかったー。
これを中学三年の頃、狭苦しい教室で読まされたときには隣家のおばさんの意地汚さに嫌になったのを覚えている。小説の背景になってるのは第一次世界大戦後くらいの中国と思われ。


で、今読むと随分印象が違う。主人公への同情心とか共感はたしかに覚えるけれど、同時に主人公のヒューマニストっぷりと割り切れ無さに「しっかりせいや」と言いたくもなる。主人公もそんな自分自身に気が付いていて、だから有名な最後の一文は「それでも、なお」言わねばならないものなのだろう。
他者の変化とそれへの戸惑いを、どうも全て社会の混乱に原因を求めてしまうところがあるなー、と読んだ。まあ、その、ある種の軟弱さを理解できてしまうのだけれど。